クイーンズギャンビットで感じる“気まずさ”の理由とは?その心理と魅力に迫る
Netflixの大ヒットドラマ『クイーンズギャンビット』は、チェスを通じて主人公が自己成長を遂げるストーリーが話題になり、全世界で多くのファンを魅了しました。
しかし、視聴者の中には、「気まずさ」を感じるシーンが多いと感じた方も少なくないでしょう。この気まずさは、なぜ感じるのでしょうか?
この記事では、クイーンズギャンビットに潜む独特な「気まずさ」を生む心理的要素と、そこに込められたドラマの魅力に迫ります。
Contents
◆主人公ベスの“異質さ”と孤独
まず、クイーンズギャンビットの主人公、ベス・ハーモンが持つ“異質さ”が多くのシーンで描かれています。
彼女は、周囲の人々から一歩距離を置く性格を持ち、普通の少女とは違う成長を遂げます。
ベスの複雑な心理状態や、その独自の視点からくる言動は、視聴者にもどこか居心地の悪さを感じさせるのです。
★なぜ“異質さ”が気まずさを生むのか?
人は、他者の中に自分と異なる要素を見出すと、無意識に距離を感じます。
ベスが持つ異質な面や、その天才的な能力からくる自信が、視聴者にも一種の気まずさを生んでいるのです。
また、彼女の言葉数の少なさや感情を抑えた表情も、周囲のキャラクターや視聴者を少し戸惑わせる要素となっています。
◆時代背景が生むジェンダーの“違和感”
ベスが活躍するのは、1960年代のアメリカ。
男性中心のチェスの世界に飛び込む彼女の姿は、時代を超えた共感を呼びますが、同時にその時代特有のジェンダーギャップが存在します。
このジェンダー観の違いが、視聴者にとって「気まずい」と感じる一因と言えるでしょう。
★視聴者が感じる「違和感」
視聴者が現代の視点で1960年代の価値観に触れることで、無意識に「気まずさ」や「違和感」を覚える場面が多々あります。
ベスが男性から偏見の目で見られたり、圧力を感じながらも成長していく姿は、彼女自身の孤独感を増幅させ、視聴者の共感と気まずさを引き起こしているのです。
◆チェスが持つ冷静で緊張感あふれるムード
相手の次の一手を読むために冷静な判断が求められるチェスという競技。それ自体が静かで緊張感を醸し出している要因です。
ベスが試合中に相手と視線を交わすシーンや、内面的な葛藤を表す表情は、視聴者に対して一種の圧迫感を与えることもあります。
★チェスシーンが生む視聴者の心理的反応
チェス盤を挟んだ緊張感は、まるで視聴者がその場にいるような感覚を生みます。
静かな対局中にわずかに変化する表情や視線の動きは、視聴者が気まずさを感じると同時に、ドラマの奥深さに引き込まれる要因となっているのです。
◆ベスの人間関係の微妙な距離感
ベスは家族や友人関係においても孤立感を持っています。
養母との関係は複雑で、チェス仲間や恋愛関係においても常に一線を引いてしまいます。
この距離感が、視聴者にとって「本音が見えない」もどかしさや気まずさを感じさせる要因となっています。
★人間関係の距離感が生む「もどかしさ」
視聴者はベスに対し、深く知りたい、彼女の成長を応援したいという気持ちと、彼女のクールな態度からくる気まずさの両方を感じているのです。
◆まとめ なぜこの気まずさが魅力なのか?
『クイーンズギャンビット』で感じる「気まずさ」は、ベスの異質さや時代背景、そしてチェスの持つ冷静さから生まれています。
しかし、こうした気まずさこそが、視聴者がベスに対し興味を抱き、次の展開を期待する理由の一つです。
視聴者がドラマの奥行きや深みを感じるためのスパイスとも言えるでしょう。
『クイーンズギャンビット』は、気まずさを伴う独特の雰囲気が、観る者に新たな視点や共感を引き出し、思わず見続けてしまう魅力に満ちています。
このドラマを通じて、異質さや孤独をも持ち味に変える強さを感じ、視聴者自身の成長にもつながる作品なのです。